シリーズは第5戦を迎えた。
チャンピオンシップを考えても残り2戦に向けて重要なレースとなるが、そんな一戦の舞台は、今季から名称が変わった栃木県のモビリティリゾートもてぎ。
チームメンバーの多くが参加していた2020 年には優勝も飾っているコースで、相性は決して悪くない。
そんな一戦へ向けGrid Motorsportには、その2020年のレースでもステアリングを握っていたショーン・トンが加わり、マーティン・ベリー、そしてトンと組んでいた経験がある高木真一、山脇大輔と組むことになった。
前戦オートポリスではレース中も思わぬ苦戦を強いられたほか、レース後にはペナルティも受けるなど厳しい戦いとなった。
負けられない一戦へ向け、チームは9月1日(木)の特別スポーツ走行からレースウイークに臨んだ。
晩夏のもてぎで迎えた第5戦は9月1日(木)の特別スポーツ走行からスタートしたが、この日は曇り空ながら非常に蒸し暑く、昼までに降った雨がなかなか乾ききらないまま走行が進められた。
明けて9月2日(金)も朝から雨が強く降り、午前10時15分からのグループ1/Xの専有走行もフルウエット。
Grid Motorsport AMG GT3はトンがステアリングを握り4 周だけを走り走行を終えた。
昼ごろにはようやく雨も上がったが、やはり路面は乾ききらず、ハーフウエットという状況で午後の全クラス混走の専有走行が行われた。
Grid Motorsport AMG GT3はトンからステアリングを握ると、途中ベリーに交代。
初めてのもてぎとなるベリーが「楽しいコースだね」と精力的に走行を重ねていくが、途中ST-5クラスの車両のクラッシュがあり、長い赤旗中断となってしまった。
終了間際にはトンがドライブし1分55秒280を記録し、5番手で終えるものの、天候はいまひとつのまま専有走行を終えた。
迎えた9月3日(土) の予選日のもてぎは曇り。
午前10 時から行われたウォームアップではトンから走行を開始し、ベリーに交代。
トンが記録した1分54秒464で4番手につけた。
「悪くないフィーリングだ」というベリーは好感触を得て午後1時から翌日のグリッドをうらなう公式予選に臨んだが、2日間の走行が功を奏したか1分54秒483を記録し2番手につける。
その好走に続くべく、Bドライバー予選ではトンが1分52秒826を記録。
合算で3番手という好位置につけてみせた。
続くCドライバー予選では高木が1分55秒096で4番手に。
Dドライバー予選ではここまでほとんどドライブしていない山脇大輔が作業を行
いながら2分01秒965を記録し、きっちりと予選を締めくくった。
公式予選終了後、「順調ですよ。ただ少し分からないのが、決勝レースのコンディションがどうなって、どんなペースになるかが読めない。耐久レースですからね。まずはみんなが協力して100％の力を出さなければならないですし、そのうえでどの順位にいるか」と高木は決勝に向けて語った。
今回の最前列には、チャンピオン争いにそれほど絡んでいないチームがいる。
彼らのうしろの表彰台圏内でフィニッシュすることが目標となった。
9月4日(日)のもてぎは薄曇りで、朝からひさびさに1万人のファンが訪れた。
午前11時からの決勝レースは晩夏の暑さのなかでスタートしたが、まずGrid Motorsport AMG GT3のステアリングを握ったのはトン。
序盤は慎重にレースを進め、2周目に#31 RC Fの先行を許すも、8周目にはポールポジションスタートの#16 ポルシェをかわし、グリッドどおりの4番手につけ
る。
ただ#16 ポルシェはサイドミラーが脱落するトラブルで時間をとられ、トップ争いは圧倒的なペースで逃げる#23 メルセデス、#31 RC F、#777 アストンマーティンに絞られていく。
トンは37周まで走った後、ベリーに交代するが、ペースは悪くなく、#777 アストンマーティンが足回りのトラブルに見舞われたこともあり、ふたたび3番へ。表彰台圏内を見据えるレースを進めていく。
ベリーはライバルたちのAドライバーと比較しても高いペースのまま71周まで走
り大役を務め、高木にステアリングを託した。
高木はレース後半、コンディションが変化していくなか3番手でレースを進めていくが、97周目、大きなリードを築いていた#23 メルセデスが最終コーナーでコースアウトを喫してしまった。レースはフルコースイエローとなり#23 メルセデスは6番手まで後退。
Grid Motorsport AMG GT3は2番手まで浮上した。
高木はそんな展開のなか、スタートからちょうど4時間というタイミングとな
る113周まで走りピットイン。
ふたたびトンにステアリングを委ねた。
その翌周にはトップを走る#31 RC F もピットインしドライバー交代を行っていたが、中盤にAドライバーのベリーが走っていたGrid Motorsport AMG GT3 に対し、#31 RC Fは最終スティントをＡドライバーが担当する作戦。
トンは122周目、一気に差を詰めると、3コーナーでオーバーテイクを決めてみせる。
これでGrid Motorsport AMG GT3がトップに浮上した。
トンはそのままチェッカーを目指したが、後方からはチャンピオンを争う#81 GT-R が強烈なペースで追い上げてきた。
132周目にはついに２番手まで上がりトンの背後に近づくが、11.217秒差でこれを退け、今季2勝目を飾った。
これでふたたびチャンピオン争いの首位に立った。しかし2位の#62 GT-Rとはわずか0.5 ポイント差。
シーズンは残り2戦。
GridSeptember 4 [SUN] FINE/DRY Motorsport はしびれるような展開のなか、ふたたびチャンピオンという目標に向けチーム一丸で戦っていく。
Martin BERRY マーティン・ベリー
レース中ずっとスムーズに戦えたことが勝因だと思うね。
みんながミスなく、安定してレースを戦えた。クルマも良かったね。
こうして優勝という素晴らしい結果を残すことができて嬉しく思うよ。
これでタイトル争いをちょっぴりリードできた。
岡山はまた初めてだけど、鈴鹿はすでに一度戦っている。
これが助けになるといいね。
Shaun Thong ショーン・トン
最終的に素晴らしいレースになったね。
予選日までは不安があったけれど、長いレースでは安定したパフォーマンスが重要だから、それを大事にしていた。
今日はミスがないように気をつけていたし、チームみんながミスなく戦い、最後まで諦めず戦った結果優勝を飾れて良かったよ。
岡山も安定性が重要になると思う。
勝つだけだよ！
Shinichi TAKAGI 高木真一
クルマ自体は序盤あまり調子が良くなさそうでしたが、マーティン選手が良いペースで走ってくれましたし、僕のスティントでは自分のペースで走ることができたと思います。
優勝できたのはチームの総合力だと思いますが、クルマはまだまだ良くできることがあります。
そのあたりを詰めて、もっと楽に勝てるようにしたいですね。
Daisuke YAMAWAKI 山脇大輔
前戦のレース内容があまり良いものではなかったので、今回のもてぎまでにチームで何度もミーティングをしたのですが、それが結果となって現れて良かったです。
今週末あまりドライブしませんでしたが、１ヶ月準備という仕事をこなし、結果に繋げることができました。
今後はタイトル争いも考えたレースをしていきたいですね。
