そんなレースに向け、チームは今シーズンも頼れるゲストドライバーとして、小林崇志を起用した。抜群の安定感とスピードは24時間を戦うに必要不可欠な存在。ライバルである#47 ポルシェも助っ人を加えており、熾烈な戦いになることも予想されたが、5連勝を目指して5月28日(水)のスポーツ走行枠から走行をスタートさせた。
いつものレース同様、初日は加藤寛規と吉本大樹がドライブ。5月29日(木)の専有走行から井田太陽と高橋一穂、小林が加わり周回を重ねていった。
リザルトを見ると、やはり今回ストレートが長い富士だけに#47 ポルシェが速い。ただ渡邊信太郎エジニアは「昨年よりタイヤの使い方がうまくいっている印象はあります。今年のタイヤは温度依存が強いイメージがあるので、そこだけ気をつけています。ただライバルはストレートが速いでしょうし、ドライバーも揃えてきていますからね」と週末に向けて展望した。「夜も気が抜けないスピード競争になりそうです」と渡邊エンジニア。望んだライバルではあるが、今季はやはり熾烈な24時間レースになることを予想させた。

まずA ドライバーに出走したのは井田。気温が低くタイヤのウォームアップに苦しむドライバーが多いなか、1分44秒409 というベストタイムを記録。ライバルの#47 ポルシェに対し、1秒以上の差をつけてみせた。ただ、B ドライバー予選では、加藤が1分44秒562を記録するも、#47 ポルシェは1分44秒421を記録。加藤を上回る走りをみせた。 とはいえ、合算タイムでは3分28秒971となり、シンティアム アップル KTM が上。今季3回目のクラスポールポジションを獲得することになった。
その後のCドライバー予選では吉本が1分46秒340を、Dドライバー予選では高橋が1分47秒685を記録。フリー走行では小林が決勝のための準備を進め、1分53秒782を記録し公式予選を締めくくった。


負の連鎖はさらに続く。井田のスティントで水温が上昇しはじめてしまい、視界不良によるセーフティカーラン時、チームは20時20分過ぎ、シンティアムアップル KTM をピットに戻すことになった。タイミングベルトのトラブルで、急遽エンジン載せ替えを実施することになってしまう。
ようやく作業が終わりピットアウトできたのは、サーキットが霧に包まれ長いセーフティカーランが続いた午後11時過ぎ。小林崇志が乗り込みコースインする。その後も細かいトラブルはあったが、小林から吉本に交代。霧による長いセーフティカーラン、さらに濃霧による赤旗中断などがある荒れたレースになったものの、吉本はしっかりとバトンを繋いだ。
朝になって加藤、高橋と繋ぎ、その後は井田が長いスティントを消化。ふたたび高橋、加藤と繋ぎ472周を消化。長い24時間レースを終えることになった。 #47 ポルシェは無傷で走り切り、シンティアム アップル KTM は2位という結果となった。しかし短時間でエンジン交換を行い、規定周回数をこなし2位のポイントを得たことは、今後に活きていくはずだ。


「全体的なペースは良かったんですけどね。クルマのトラブルさえなければ面白いレースができたと思うので残念でした。ライバルはまったくトラブルがなく24 時間を走りきったらしいので、やはり強敵であることが再認識したレースになりましたね。今回は夜もドライブしましたが、年齢のせいか見えず、少し怖かったですね。ここからはもう落とせないレースの連続なので、頑張るしかないと思っています」

「24時間レースはいろんなドラマがあるものですが、今回は我々には流れが向いてくれませんでした。ただFCY やセーフティカーなどいろいろあったなかで、誰もレースで怪我をしなかったのは良かったですね。危ないシーンもあったと思います。今後取り返さなければと思いますが、いつもどおり自分たちのベストを尽くすだけだと思います。今回はトラブルもミスもありましたしね。仕切り直したいと思っています」

「トラブルも出てしまって、悔しいレースになってしまいました。僕自身もあまりドライブできませんでしたしね。5連勝がかかっていたにも関わらず勝てなかったですから残念です。とはいえ、今回はポイントが大きいですから、しっかりクルマを直して2位になったのを前向きにとらえなければと思います。次のSUGO は僕自身はあまり得意なところはないですが、しっかり取り返さなければいけませんね」

「レース途中までは良かったんですけどね。ウエット路面でスタートして、スリックに交換してからすぐに66号車に接触してしまい申し訳ないことをしてしまいました。その後もペナルティを取り戻そうとしましたが、トラブルが出て勝負権を失ってしまいました。ただエンジン交換を2時間でこなしてくれたおかげで、完走して2位のポイントを獲ることができました。次のSUGO もチームワークで頑張りたいです」

「結果的にトラブルもあったので、夜担当で呼ばれた僕の出番はあまりありませんでした。2スティントはドライブしたものの、少し物足りないレースになってしまいました。今年はせっかくクラスが2台になったのでレースができると思っていたので、仕方ないとはいえもう少し楽しみたかったですし、結果が出ないと楽しさもなくなってしまうと思います。もしも来年も呼んでいただけるなら、また出場したいです」

