けて「クルマのバランスを見直すセッティングを行ってきました」と渡邊信太郎エンジニアが語るとおり、さらなる煮詰めを行ってきた。
そんなレースウイークは4月24日(木)の特別スポーツ走行からスタートしたが、初日は1回目の1時間のセッションのみを吉本大樹がドライブ。新しいセッティングを試し好感触を得た。
明けて4月25日(金)は特別スポーツ走行、2回の専有走行が行われ、曇り空のもとシンティアム アップル KTM は、午前9時からの特別スポーツ走行ではこの日合流した加藤寛規から走行をスタートさせた。
同じくこの日から合流した井田太陽、高橋一穂と交代し、午後0時15分からの専有走行では井田と高橋が、午後3時から全クラス混走で行われた2時間の専有走行では高橋と吉本がステアリングを握り、吉本がロングランを実施。ここで得られたデータが決勝に活きる。
新たなセットアップはドライバー4名とも高評価ではあるが、#47 ポルシェもスピードがあり、速さの面ではどちらに分があるかはまったく予想ができない状況で1日半の走行を終えることになった。

午後2時から行われた公式予選では、まずは井田がAドライバー予選に臨むと、2分09秒499 を記録。まずは#47 ポルシェを上回ってみせた。
続くBドライバー予選は、第1 戦同様加藤がアタックを担い、2分07秒811を記録。ジェントルマンドライバーがアタックした#47 ポルシェに対してこちらも上回り、合算タイムでST-1 クラスのポールポジションを決めてみせた。ただ、ライバルも決して遅いわけではない。C/Dドライバー予選では、高橋が2分17秒411、吉本が2分12秒710 を記録したものの、#47 ポルシェは2分08秒096というベストタイムを記録した。決勝レースを見据えたセッションであり、全クラス混走という状況ではあるものの、決して楽観しできるレースではないことを感じさせた。


開幕戦こそ吉本が序盤に大きなリードを築くことができたものの、今回#47 ポルシェはベテランのプロをスタートに据えてきた。序盤、吉本はトップを守っていったものの、後方からは大きな差なく#47 ポルシェが続いてくる展開となった。
そんななか、今回のレースは開始44分にAstemoシケインでのクラッシュによりフルコースイエロー(FCY)が入ると、その後も立て続けにストップ車両の発生などでFCY が入っていく。開始1時間半までの間になんとその数4回。吉本もなかなか大きなギャップを築く間もなく、31周まで走りピットインした。
続く第2スティントを担当したのは加藤だ。ここで#47 ポルシェはAドライバーを起用しており、加藤はマージンを築いていくと、スタートからちょうど半分ほどとなる56周目には#47 ポルシェをラップダウンにしてみせた。加藤は60周でピットインし、ここで高橋一穂にステアリングを託す。ここからはいかにリードを守っていくかだ。
#47 ポルシェは、第3スティントに開幕でも速さをみせた若手を起用。猛烈なペースで追い上げを開始してくると、ラップダウンを解消。高橋とのギャップを削ってきた。75周を終えて高橋はピットインし、アンカーの井田太陽にステアリングを託したが、この間に#47 ポルシェが先行してみせた。
#47 ポルシェが103周を終えて最後のピットインを済ませると、井田が好ペースで走行を続けていたシンティアム アップルKTM がふたたびリード。ただ、106周に給油のみのピットインの必要があった。ここで金曜に行ったロングランのデータが活き、井田はタ イヤ交換を行わずピットアウト。リードを保ち最後は56.259 秒の差をつけてチェッカーを受けた。
結果的に開幕2連勝を飾ることができたが、#47 ポルシェは1回分ピット回数も少ない状況。#47 ポルシェの作業が遅れたこと、井田の快走が勝因だが、その差は着実に縮まったことを感じさせた。次戦は重要な富士24時間。チームは一丸となって第3戦に臨む。


「終盤はチームからも『ここで手を抜いたらやられるぞ』と発破もかけられ、スティント序盤から必死になって走りました。タイムは安定したようにも見えますけど、飛び出したりもしていたので大変でしたね(苦笑)。一生懸命頑張った結果、優勝することができて良かったです。ただ今回のレースで、それぞれの得意なところが分かったと思います。シリーズは面白くなりそうなのでさらに頑張るしかないですね!」

「途中までの展開を見るとライバルが4スティントでいけそうだったので『やられたな』とも思っていたのですが、こちらは飛ばしてうまく最後に逃げ切れたな、と思いますね。今日は井田選手が本当に素晴らしかったと思います。すごく頼もしく感じています。高橋選手も井田選手も良い走りをしてくれましたし、ピットもミスがありませんでした。チーム力が一段上がった感じがあるので、今後のレースも楽しみです」

「今回は新しいセットアップで走りましたが、みんなが僕に合わせてセットを作ってくれますし、このクルマも長く乗っていますからね。レースではしっかり走ることができました。今日はなんとか優勝することができましたが、大事なのは次の富士24時間ですからね。このクルマは少し華奢なところもあるので、壊れないようにしっかりと対策したいです。次のレースも頑張りたいと思います」

「本来ならライバルが勝ちのレースだったと思いますね。こちらが序盤ギャップを作れたことが大きいですし、井田選手のペースがすごく良かったですが、相手のピット作業に時間がかかったことと運が大きいです。それにしても今回の井田選手の走りはMVP 級に素晴らしかったです。とはいえ、給油回数についてはシリーズにも見直して欲しいと思いますね。これだけ回数が変わってしまうと次戦は大きいと思います」

