2024年シーズン開幕!
新体制で飛躍を目指す
2024年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第1戦が3月9日(土)~10日(日)に三重県の鈴鹿サーキットで開催された。ThreeBond Racingは、阿部正和チーム代表、道上龍監督、塚越広大アドバイザー、昨年までドライバーを務めた福住仁嶺選手の後任として三宅淳詞選手(以下、三宅選手)を起用、更にデータエンジニアとしてチームをサポートしてきた新井凌氏(以下、新井エンジニア)をチーフエンジニアに据え、体制を一新して2024年シーズンを戦うことになった。
Round.1 公式予選
シーズンオフのテストからThreeBond RacingのSF23に乗り始めた三宅選手は、一部走行時の不安定感を訴えており、新井エンジニアはコメントとデータを基にセッティングを修正しレースウィークに使用するセッティングをまとめて、マシンを鈴鹿サーキットヘ持ち込んだ。土曜日午前、フリー走行セッションに出走した三宅選手は気温、路面温度とも低いコンディションの中で、まだセッティングに対して改善の必要があることを感じ取り、1時間35分にわたるセッションで26周を走り、8回のピットインを行って、セッティングの改善を進めた。
チームは、改善の延長上に午後の公式予選に向けたセッティングを考え、マシンを仕上げて三宅選手を午後の公式予選Q1A組に送り出した。
しかし、予選用セッティングを行う際にミスが発生、コースインした三宅選手は思い通りのタイムアタックができず、タイムはトップの選手から2秒183のギャップをつけられた1分38秒467にとどまり、出走11台中11番手に終わった。
Round.1 決勝
思いもよらない予選結果を受けてチームはマシンの全面的なチェックを行った。
その結果、セッティングの過程のミスから公式予選では想定したセッティングで走行できていなかったことが判明した。
チームは翌日の決勝レースに向けて改めてセッティングをやり直し、決勝日を迎えることとなった。
決勝レースに先立ち行われたフリー走行に出走した三宅選手は、セッティングをやり直したマシンの状態が前日とは激変したことを感じ取りながら、出走21台中10番手のラップタイムを記録した。
「いきなりグリップするようになりました」と言う三宅選手は、決勝レース前のウォームアップ走行では2番手のタイムを記録、良い感触を得た状態でスターティンググリッドについた。
午後2時49分過ぎ、前日よりも気温、路面温度が上昇したものの、やはり通常シーズンよりも路面温度が低い状況で決勝レースが始まった。
レースがスタートすると最後尾から加速した三宅選手は1コーナーまでに7台をかわし一気に14番手へ進出。
さらに2周目のS字コーナーで先行する2台が接触、コースオフしたため、ポジションは12番手へ繰り上がった。
しかし、その後はペースが上がらず三宅選手はポジションを守る走行に入った。
規則ではレース中にタイヤ交換義務が定められており10周目以降から作業が可能となるが、チームは14周目までピットインを遅らせ、三宅選手をピットヘ呼んだ。
4輪のタイヤ交換を終えた三宅選手は17番手でコースに復帰した。
この時点でタイヤ交換を終えていない車両が5台走行しており、三宅選手は実質上の順位で12番手を守っていた。
だが交換を終えた三宅選手のタイヤは思い通りに暖まらず、コース復帰後2周目にようやくこのレースでベストタイムとなる1分39秒89 4を記録した。
しかし、中盤以降にタイヤ消耗が想定よりも早く進んでペースダウン、結局フィニッシュまでにポジションを2つ落として14位でチェッカーフラッグを受けた。
三宅選手がレース中に記録したベストタイム1分39秒894は、全体で8番手、優勝した野尻選手を上回る記録だった。
シリーズ 第2戦は2か月後の5月18日(土)~19日(日)大分県のオートポリス・インターナショナルレースコースで開催される。
チームは、今回のレースで得たタイヤウォームアップや消耗特性を解析して、タイヤに厳しいと定評のあるオートポリスでのレースに備える。
ドライバー:三宅淳詞コメント
予選では、マシンのセッティングにミスもあったので、パフォーマンスを出し切れず厳しい結果になってしまいました。
決勝に向けて問題点を改善した結果、朝のウォームアップでは、トップ10に入るタイムを記録できました。
決勝レースでは、まさにロケットスタートが切れました。
ただ、その後はリヤが不安定な傾向がありレースペース的には厳しいところがありました。
去年、チームに帯同してレースを眺めていましたが、やはり同様の現象が起きていたので、そこにまだ課題が残っていると思います。
次戦のオートポリスは日本で一番タイヤに厳しいことで有名なサーキットなので、リヤが不安定な傾向を直さないとロングランは厳しいと考えています。
次戦までは時間があるので、チームの皆さんと話し合いながら、マシンもドライビングも修正して臨みます。
監督:道上龍コメント
土曜日の練習走行ではバランスを見ながらマシンをまとめていきましたが、肝心の予選では、セッティン グにミスコミュニケーションが生じ、タイムが全く出せないという状況に陥つてしまいました。
日曜日に向 けてその点を改善したら、朝のフリー走行で三宅選手は「この週末で一番乗りやすくなった」と言ってくれました。
土曜日にやろうとしていたこと自体は間違っていなかったことがわかり、このセッティングで予選を走れていたらどうなっていたのだろうと考えると悔しくなりました。
決勝では三宅選手が素晴らしいスタートを決めたので、タイヤ交換のピットインをするまではうまくいけばポイントが獲れるかもしれないと思っていました。
ところが2セット目のタイヤに交換した結果は一発のタイムは出たものの、タイヤの温まりが遅かったり、その後グリップの落ち幅が大きかったりといったネガティブな要因が重なり、結果は14位となりました。
予選から、ここまで取り戻したことには手応えを感じているので、第2戦までの間に課題にしっかり取り組んで頑張ります。
アドバイザー:塚越広大コメント
シーズンオフのテストには参加出来なかったので、新体制にはこのレースで初めて加わりました。
新体制になったので、様々な確認に時間を取られてしまい、決勝日朝の段階でようやく手応えを感じるところに達しました。
本当はそこからレースウィークをスタートしてロングランに対してのセットアップを充分に詰めたかったところでした。
また、予選でミスがなければ、ずっと前に並べて違うレースができたと思います。
新体制の中でみんなの力が噛み合わなかったのかなと思うので、今日の結果を基にアイデアを出し、皆で一歩ずつ進もうとアドバイスするつもりです。
チーフエンジニア:新井凌コメント
我々は1台体制ということもあり、オフシーズンテストでのデータ収集量にも限りがあることで、充分な準備ができたとは言えないシーズンスタートとなりました。
さらに予選ではセッティングでミスがあり、三宅選手が全力で走れる状況にはなりませんでした。
決勝に向けてセッティングを見直してウォームアップに臨んだところ、三宅選手から「この週末で最も良い状況」とのフィードバックを得ることができました。
決勝では素晴らしいスタートで順位を大幅に上げてくれました。
しかしタイヤ交換した後、タイヤの暖まりが遅く、グリップの落ち幅が大きいと言う問題も出て、順位をやや落としてしまいました。
士曜日と日曜日の間にセットが大きく変わり、三宅選手には耐えるレースをさせてしまいました。