第5戦もてぎ大会
後半戦に向けて巻き返しを狙う
2024年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第5 戦が、8月24日(土)~25日(日)にかけて、栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催された。
ここまで原因不明のセッティング難に苦しんでいたチームは、原因の1つがギャボックスケーシングの疲労にあるのではないかと考え、新品のギヤボックスを投入してレースウィークに挑んだ。
24日(土)午前に行われたフリー走行では、新しいアプローチでまとめたセッティングで三宅選手は順調にタイムを縮め、セッション終了前にニュータイヤを装着して公式予選に向けたシミュレーションにかかった。
しかし突然エンジンが吹き上がらなくなるトラブルが発生。
ピットヘ戻ることとなったため公式予選に向けたシミュレーションは中断、ラップタイム更新もならず、21台中20番手でフリー走行を終えた。
トラブルは燃料系統に発生したもので、チームはセッション終了後のインターバルに燃料系の部品を交換、公式予選に備えた。
24日(土)午後に行われた公式予選では1つでもポジションを上げるべく、チームはフリー走行から更にコーナリング重視のセッティングに変更して三宅選手を公式予選Q1A組に送り出した。
しかしこのセッティング変更によってタイムアタック中、想定外のアクシデントに見舞われる。
第3コーナーでブレーキングをした際に車体バンプの影響からタイヤがロック、コーナーを曲がりきれずオーバーランしてしまった。
オーバーランしたことで三宅選手はタイムアタックを打ち切り、ノータイムでセッションを終えた。
このままでは公式予選不通過となり決勝レースヘの出走ができなくなるため、チームは嘆願書を提出、25日(日)の決勝レースは最後尾からのスタートとなった。
24日(土)の夕方から激しい雷とゲリラ豪雨が北関東周辺を 襲い天候が心配されたが、25日(日)は朝から晴天となり気温、路面温度ともに上昇した。午後2時40分に決勝レースがスタートすると、三宅選手は得意のスタートで第5コーナーまでに4台をオーバーテイク。しかしヘアピンの立ち上がりでわずかに加速が鈍り、大嶋選手のドライブするマシンが接近した状態で90度コーナーヘ進入した際にアクシデントが発生。大嶋選手の左前輪が三宅選手の右後輪に接触したため姿勢を崩してスピン、最後尾ヘ後退した。
三宅選手はレースに復帰できたものの、接触の影響で右後輪がバーストしてしまったため、緊急ピットインとなった。チームは接触によりマシンが破損した可能性があると考え、タイヤを交換するとともにマシン各部をチェックした。幸運にもマシンに破損は見つからず、三宅選手はコースに戻ったがこの間に2周遅れとなってしまった。
決勝レースで周回遅れになってしまった場合、挽回は実質不可能となってしまう。しかしチームは諦めず残った周回でベストラップを目指して走行を続けた。三宅選手のラップタイムは出走21台中4番手で、上位陣と遜色ない走りを見せた。決勝レースの結果は20位となったが、このタイムを出すことができたことは、次戦に向けての良い流れを掴むきっかけとなるだろう。
次回シリーズ第6戦、第7戦は10月12日(土)~13日(日)、静岡県の富士スピードウェイで、1大会2レース制にて開催される。
ドライバー:三宅淳詞コメント
決勝レースのスタートは完璧とは言えませんが、混戦の中で場所取りがうまくいき、ポジションを上げることができました。
しかしヘアピンを抜けた際に加速が鈍ったことで、後方のマシンに追いつかれてしまい90度コーナーでイン側に入られ、1車線空けたつもりで進入したら接触してしまいました。
今回の接触はレーシングアクシデントなので、どちらが悪いというわけではありません。
ただ、混戦は集団のトップで走れば避けることができるので、予選でタイムを出せなかった私の責任です。
レースに復帰した時点で既に周回遅れになっていたので、他のマシンの動向に注意しながら、次回のレースに向けたデータを取るために走り切りました。
今回は公式予選でタイムが出せず、決勝レースで接触と悪い流れになってしまいましたが、ラップタイムは着実に上位陣に近づいてきているので、次回の富士では良い流れに乗りたいと思います。
監督:道上龍コメント
今回のレースウィークは24日(土)のフリー走行、公式予選と立て続けにトラブルやアクシデントに見舞われ非常に悪い流れになってしまいました。
決勝レースでは接触した後、タイヤ交換のみで再スタートすることも考えましたが、万全を期すためにマシンをガレージに入れてチェックをしたため2ラップ遅れになってしまいました。
レース復帰後、単独で走っていたので単純な比較はできませんが、タイムはトップグループの選手とほぼ同じペースで周回できていたので、セッティングの方向性は良かったと考えています。
周回遅れになった時点で、勝負権はなくなっていたので、とにかく最後まで走ってマシンのバランスを確かめながら次回以降のレースを考えデータ収集に努めました。今回の決勝レースは残念な結果にはなりましたが、次に繋がる手答えはあったように感じています。
アドバイザー:塚越広大コメント
今の状況を好転させるために、このレースではこれまでと違った手法のセッティングをトライしました。
まだ結果には現れていませんが、感触は良くなる方向に向かっていると思います。
24日(土)の公式予選は期待していましたが、フリー走行でトラブルが出たことでタイムアタックのシミュレーションが行えず、その結果、公式予選では車高の詰めが甘くなって悪い流れになってしまいました。
決勝レースではスタートで一気に順位を上げ、三宅選手にも良い感触があったとは思います。
アクシデントがあったことは残念でしたが、ベストラップを目指してプッシュした結果、ベストラップは出走21台中4番手のタイムを出すことができました。
これは良い方向だと思うので、次戦に向けてさらにセッティングを熟成させていきたいです。
チーフエンジニア:新井凌コメント
前回のレースで良かった部分を取り入れたセッティングを持ち込みましたが、良くなったところがあった反面、悪くなったところもあり、悪くなった部分を直しきれないレースウィークになってしまいました。
公式予選に向けては、曲がりやすい方向ヘセッティングを大きく振り、限界のポイントを探ろうと試みましたが、結果として車体が路面に接触してしまい、タイムを残すことが出来なかったため、三宅選手には申し訳ないことをしてしまいました。
決勝レースでは単独走行時に上位の選手と遜色ないタイムで周回できていましたので、セッティングとしては手答えがありました。
次回の富士ではまず公式予選で良い結果が出せるように準備を進めます。